2021/05/04

【米国株の真実】米国株に関しては、実は「景気・経済=株式市場」ではありません!

 「株価とその動きは景気・経済に反映される」は米国株に関して言えば、ウソ💦です。

こんにちは!

アメリカ在住で株投資歴13年の元日本人・アメリカ人のYascoです。


皆さんは、「株の値動きと景気は連動するのでその国の経済を勉強すれば株価動向の予測ができる」というような株専門家の話を聞いたことはありませんか?

これは決して間違いではありません。が、今日の米国株に関しては、この半分くらいしか正解でないと思っておいた方が良さそうです。


米国株を10年以上やっておられる方はご存じと思いますが、2008年秋に始まったリーマンショックで米国経済は大不況に陥り、株価が1年半~2年ほど停滞しましたよね。

この当時は明らかに「景気=株価」のイメージだったと思います。


では、昨年のコロナ禍ではどうでしたか?2020年3月21~23日頃に株式市場全体が暴落して4月上旬くらいまで株価が停滞しましたが、コロナ感染数もうなぎ上りでパンデミックがまだまだ収まる気配がないのに、株式市場はその後急速に大復活を遂げました。株式市場だけ見るとまるでバブル最盛期か⁈🙌というくらいにほとんどの米国株が爆上がりしましたね。

とりわけ、びっくりしたのが、コロナ禍で営業売上・収益がほぼゼロになった旅行業界(航空会社やクルーズ会社)の株が事業再開の目途もまだ立っていないのに暴騰しました。


みなさん、「なんじゃこりゃ~!どうなってんの?!」と思われなかったですか?


方や、米国国内の足元の景況はというと、コロナによる経済封鎖で全米の失業率は跳ね上がり(14~15%/2020年4月頃)、現在は昨年から回復はしているものの、2019年のコロナ禍以前のレベル(3.8%)にはまだまだ遠い状況(6.6%/2021年2月)です。だから経済指標だけ見れば昨年は不況そのものであったと思います。

なぜこういう不可思議現象が起きたのか?

理由の一つは当然、米政府が急遽タイムリーに行った景気対策が挙げられます。

米国人と米国居住者へ配布したStimulus Paycheckと呼ばれる生活支援金が一つ、

そして、FED(フェド)と呼ばれる米国のいわば中央銀行にあたる機関が行った金融緩和政策(貸付利子率をゼロ、企業への公的資金投入)のも一つです。



しかし、2020年は一時的とは言え、不況そのものの年でした。

であるのに株式市場はバブル状態。


この頃から、CNBCやBloombergや他のビジネス系番組でささやかれ始めた株取引における格言がいくつもあります。

”Don't fight FED!"  フェドに逆らうな!

"Stock market is NOT economy"  株式市場=経済ではない

”Stock market is at least 6 months ahead"  株式市場は少なくとも6か月先を見ている。

”Stock market is all about momentum” 株式市場には気運が大きく影響する。



”Don't fight FED!"  フェドに逆らうな!

米連邦中央銀行が金融緩和政策の一つに米国内の地方自治体や企業への公的資金投入(PPPローン)がありました。コロナ禍不況で企業が倒産に陥らないよう米政府が利子率ゼロ、あるいは極最低な利子率で、ある一定資格を得た対象公的機関や企業に多額資金を提供しました。

この政府の景気対策おかげで、投資家は持株企業の倒産を心配する必要がなくなったわけです。だから、「安心して投資できる」という機運が株式市場に一気に高まり、おまけに職を失った人(大半は中産階級)や在宅勤務していた人の多くが副収入を得るため、今まで一切興味がなかった株取引を始めたのです。在米オンライン・ブローカーの一つにRobinhoodという会社がありますが、このブローカーの新規口座開設数が爆上がりし、”Robinhood Investor"という言葉が流行語になりました。

こうして瞬く間に米国株式市場は買い手市場=株価暴騰となったわけですが、

この状況で、

「いやいや、政府がいくら資金援助してもコロナ禍で景気後退は免れないっしょ?!」

と疑っている人は常に一定数いました。かく言う私も、9月頃までこういう疑いが晴れなかったため、旅行業界の数社の株を空売りしておりました😝。そして、その株価は爆上がりをし続けたため、大損しました😭。

ここで、9月ごろようやく(遅かったと反省しております💧)、

”Don't fight FED!" 

の意味がよ~く分かりました。これはつまり、「景気後退を回避するためならフェドは金に糸目をつけない。だから、景気後退を期待して(空売りして)も無駄だ。」ということです。特に昨年はトランプ大統領が再選を狙っており、フェド会長のPowell氏を盲プッシュして株価の安定上昇を促すような対策を取るよう裏から突くように促していましたからね。

ここで、米国株取引の秘訣のうちの一つとして、

米国株は株式市場の波(市場気運)にいかにうまく乗るかが重要になります。これは皆さんも心置きしておいて損はないと思います。だから、気運が上向きであるのに、それに逆らってはいけません。私はそれで大失敗をした張本人です!😢


次に

"Stock market is NOT economy"  株式市場=経済ではない

”Stock market is all about momentum” 株式市場には気運が大きく影響する。

は意味合いとしては同じです。

つまり、「株式市場の値動きは、失業率や企業の財務実績・決算状況といった一般的な経済・景気指標だけから反映されるものではない」ということです。

そういった教科書に載っているような数値的な情報だけを鵜呑みにしていると、えらいどんでん返しに合うので、米国株取引は足元の米国内の生活感覚的な情報にもアンテナを張ることが非常に重要になってきます

たとえば、ラスベガスのカジノ企業株を考えてみましょう。

コロナ禍でラスベガスにあるカジノは全面閉鎖となりましたが、7月~9月あたりから徐々に規制が解除され、コロナ対策ルールに則った範囲内で営業が再開されました。でも、カジノの営業が再開されたからと言っても、売上が順調に伸びるとは限りませんよね。カジノが営業再開されてもどうせギャンブルをしにやってくる客なんて少ないんでは?という疑心暗鬼論がメディアでは繰り広げられていました。

ところが、私の知り合いのアメリカ人でカジノが営業再開発表をするや否や早速航空チケットとカジノホテルの予約を入れた人が数人いました(バカなんじゃないこの人たちは?😒なんて思ってましたが)。Yahoo Financeのカジノ企業株のコメント欄などを覗いてみると、同じようなことを言っている人が当時大勢いました。

そして、なんとビックリ!😲

全米各地のカジノの営業再開日当日には待ち望んでいた客で長蛇の列になりました。

当然、これを受けてコロナ禍で下げ止まりだったカジノ株が一気に急騰しましたね。

でも、カジノが営業再開した当日時点での企業財務状況はまだまだ不況のどん底だったわけです。だって、それまで半年近くも全く売り上げがなかったわけですから。

でも、株価はバブル状態。

これはなぜか?この答えは、ズバリ、

”Stock market is at least 6 months ahead"  株式市場は少なくとも6か月先を見ている。

につながるわけです。

カジノが営業を再開したのが2020年夏ですから、その半年後の2021年1月~3月ころにはカジノの営業は100%回復ではないにせよ、少なくとも50%くらいは回復していると予想できるでしょう。それを見越したうえで、売上ゼロから50%にアップするのが明らかなわけですから、株価もその頃にはコロナ禍のどん底価格から回復すると読むのが普通です。それを見越して、多くの投資家は「今株価がまだ低く抑えられているうちに買い占めておこう!」と考えます。

もちろん、投資家全員がそう考えるわけではありません。しかし、多くの投資家がそう考えると、その気運が必然的に市場全体に高まりますよね。そうして、そう考えていなかった投資家も「あれ、私の考えは間違っていたんじゃ?路線変更しなきゃ」と思うようになるわけです。

これが、”Stock market is all about momentum” 株式市場には気運が大きく影響する。

ということです。


ご覧のように上記の格言が順繰りに繋がっていますよね。

つまり、本投稿で私の言いたかったことは、

手引書や解説本に載っているようなアドバイスに則って株取引を行うことも重要ではありますが、米国株に限って言えば、それだけを鵜呑みにしていると大きな落とし穴にはまってしまうので、注意してください!

ということです。

株の手引書や解説本を読むのもいいですが、それより、最新(昨日今日)のアメリカの時事や政治ニュースを日常的に入手することの方が個人的にはより重要だと感じています。

もっと言うと、アメリカに住む人々の日々の生活感覚(レジャー・買い物意欲や流行の注目製品、住宅売買傾向、転職志向など)を知ると自ずと目をつけるべき企業株などが分かってきます。

こういうと、「アメリカ在住でない日本人にはキツイ」と思われるかもしれませんが、英語ができなくても、翻訳機能を酷使すれば完璧な翻訳でなくともある程度の意味は理解できて、いくらでも米国メディア発情報を理解することができますし、SNSなども駆使すれば一般アメリカ人の日々の生活における考え方や意見なども垣間見ることができます。

机に向かって株の教示本や日本在住の株アナリストのお堅い記事などを読み漁る時間があるんであれば、こういったアメリカ発の情報を入手する方が理にかなっていると私は考えます。

もちろん、こればっかりは各自それぞれご自由なやり方や考え方があると思いますので、私の考えが参考程度にでもなったならうれしく思います。


今回は以上です。

次回もどうぞよろしくお願いいたします!🙇





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